薬師寺 管主 加藤朝胤氏の法話① 前回のつづき
人間には誰もが迎える祝い事が3つあります。何でしょうか?
1つは産まれること。誕生。結婚、ははずれ。結婚しない人もいるから。
2つ目は成人。誰でも迎えるから。
3つ目は死なのです。死は実は祝い事なのです。死は不吉なこと不浄なことだと思っていま
したが、それは間違いだそうです。
あの柔らかかったからだが固くなり、あの温かったからだが冷たくなり。あの赤かった顔が白くなる。なんとも言えない恐怖感。自分で経験したことがないから。自分がもしそうなったらどうなのだろうととても恐怖なのです。
死は経験したことがないから。だから死は不浄なものだと思う。
私たちは必ず死ぬ。順番はないのです。若いから長生きするかというと、そうではない。年いっているからといって老い先短いかっていうとそうではありません。いつだれがどこでどうなるかわかりません。それがわたくしたち人間の死なのです。
だから毎日を精一杯生きる。その生き方を教えて下さったのがお釈迦さまだそうです。
その尊い死をいつまでも忘れない。そのためにどうするかというと、ご先祖供養をするのが大事だそうです。
その3つにそれぞれ色がついているそうです。
1つめの誕生は赤色。だから赤ちゃんといいます。
2つめの成人は黒色。黒はほかの色に変わらない。それ以外の色は他の色を足すと色が変わるが黒色は変わらない。子供から成人になったらそれ以上は変わらない。ちゃんと責任ある行動をということで黒なのです。
3つめの死は白色。
白衣の天使に白衣の坊主といいますが、これは清浄無垢。清らかという意味。
死んだらご破算。これが大和民族の優しさなのです。
いつどうなるかわからないが必ず訪れるのが死なのです。
死ぬときにみなさんはなんて言われるか。もっともっと生きていてほしかった。と言われるのか。口に出しては言われないが早く死んでくれてよかった。
どちらがよいか。もちろん前者ですよね。
死ぬ日がわかっていたらその日につじつまを合わせればよいが、いつ死ぬかわからないから毎日を精一杯生きていくことが大切。
つづく