
前回の鬼瓦の製作現場の見学の後に、市内の別の工場に行きました。
この工場では役瓦を製作しています。
役瓦とは屋根の特殊な部分に使用する瓦で、軒瓦や屋根の妻側に使う袖瓦や棟に使う熨斗(のし)瓦や冠瓦など特定の位置や用途のみに使用されます。
この瓦工場ではプレス機を使いつつ、全ての瓦を手作業で仕上げていきます。
ガス炉も最新のものを使用しており、燻化工程で出る煤(すす)が工場の外に出ないような処理をしています。
今回の若松社でも各部に使う瓦が少ないと、数枚ずつのものを各部位にあったサイズで製作するため手作業で製作します。
来年で創業100年を迎えるそうですが、創業時からの道具を現在でも使用して製作してみえます。
少量多品種の瓦を製作出来るため全国から文化財の修理用に数枚のオーダーから製作していて瓦の裏には製作年と会社名を入れてあり、将来の修理にも製作者がわかるようになっています。
屋根の最上部の鬼瓦の下部に取付けられる拝巴瓦(おがみどもえ)を今回4個製作しました。
この瓦の紋の為に石膏で型を作り、石膏型から成形用にアルミで型を作っているため、全国の社寺仏閣の紋の型が全て保存されています。
伝統を受け継ぐ瓦職人や製作工場が減り続けている昨今ですが、日本の建築文化を未来に残す為にも何とか頑張って欲しいと私たちは切に願っています。